美女の危険な香り
第29章
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 うつらうつらしながら、朝を迎える。


 俺は辺りの空気が冷え込んでいるのを感じ、いったん室外へと出た。


「おはようございます」


「ああ、おはようございます」


 当直の女性看護師に声を掛けられ、俺は挨拶を返す。


「昨日から何も食べてなくて、ちょっと腹減ってるんでね。軽く食事してこようかなって思って」


「どうぞ。院内にも食堂がございますし」


「近くにファミレスある?」


「ございますよ。病院を出られてから、向かって右に行かれたすぐのところに一軒あります」


「分かった。じゃあそこで食事してくるから。一時間後には戻れると思う」


「お待ちしております」

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