美女の危険な香り
 看護師は今から優紀子の遺体を綺麗に拭く作業をするようで、冷たい霊安室へと入っていった。


“よくこんな冷凍室みたいなところにいられたな”


 そう率直に思ってしまうぐらい、霊安室の中は冷え切っている。


 俺はある程度歩を速め、慌しい感じで病院を出た。


 看護師が指摘した通り、建物を出てすぐのところにファミレスがあって、中はそう込んでいないようだ。


 俺が入っていくと、


「いらっしゃいませー」


 という声が聞こえてきた。


 若い女性店員の声だと分かる。


 俺が窓際の席に座り、メニューを見て、


「この朝定一つ。飲み物は緑茶で」


 と言った。
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