美女の危険な香り
いる。

 優紀子の葬儀が終わって、納骨まで済んでから、俺は千奈美との新婚生活を始めようと思っていた。


 世の中、夫婦になれば上手くいくカップルとそうじゃないカップルに分かれる。


 ただ、俺は優紀子との結婚生活の轍だけは踏むつもりがなかった。


 いい関係を作っていくのは自分たち次第なのである。


 他人には変に介入されたくなかった。


 俺の人生なのだから……。


 そしてこれからの生活は充実するだろうと思っているのだから……。


 不動産屋が俺の社長室の固定に電話をくれたのは、優紀子の葬儀が済んでから一週間が経って、だった。


 俺はその電話で品川にマンションを借りることを正式に契約する。


 疲れ知らずで働いていた俺も、社長夫人になる予定が出来ている千奈美も、互いの人生を歩み続けていた。

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