美女の危険な香り
 俺は一週間に一度の定例の幹部会に必ず出席し、自分のブレーンたちがどんな提案してくるか、感じたいと思っていた。


 これは会社経営が一人じゃ出来ないことを意味する。


 俺もさすがに精鋭のような部下たちに恵まれないと経営が困難なのだ。


 幸い、新たに両グループから入社してきた人間たちは頭脳がある程度優秀で、俺は幹部会では意見を言う側ではなく、聞く側に回る。


 そして散会する頃に、


「じゃあ、その件に関しては君たちに任せたよ」


 と上手く部下たちを煽(おだ)てながら、幹部会の行われたフロアを出、社長室へと戻っていく。


 相変わらず読むべき書類が多かった。


 俺自身、出社した段階ですでに大量にデスクに置かれている。


 俺は淹れてもらっていたコーヒーを飲みながら、書類に目を通す。


 昼前になると、自然と腹が減り、いつものステーキハウスへと向かうのだ。


 マスターが分厚い肉をウエルダンで焼いてくれる。
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