美女の危険な香り
 龍馬の銅像前までものの数分だった。


 俺が歩きながら、


「何か飲む?」


 と訊いてみる。


「うん。……じゃあ、ホットのレギュラー缶コーヒー。」


「俺もコーヒー飲みたいな。喉渇いてるし」


 俺は近くの自販機で缶コーヒーを二本買った。


 砂糖とミルクが入った方は千奈美の分で、俺はブラックのそれを買う。


 缶が温かい。


 俺は熱々のコーヒーを彼女に手渡し、受け取った千奈美が、


「ありがとう」


 と言って、プルトップを捻り開け、呷る。


 俺もコーヒーを飲みながら、手荷物を持ち、桂浜へと向かう。
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