美女の危険な香り
 龍馬の銅像まですぐだ。


 俺と千奈美は並んで歩く。


 ゆっくりとした時間が流れていった。


 南国特有の暖かさも加わって、俺たちは思わず上着を一枚脱ぐ。


 二月下旬の高知はすでに暖かい。


 俺も千奈美も薄着で歩き続ける。


 海を見据える龍馬の銅像前に、男性が一人立っていた。


「あ、初めまして。ガイドの栗本です」


「ああ、今井です」


「失礼ですが、ご夫婦ですよね?」


「ええ。つい最近、結婚しましてね」


 俺がそう言って、ヘヘヘと笑う。


 栗本が、
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