美女の危険な香り
 ただ古雅に関しては、あまりにも目に余る行為が多すぎるので、来年度を迎えればスパッと辞めてもらう。


 その点に関して、俺は部下から怖がられていた。


「社長は冷徹だ」と。


 そして俺は実際、高橋の処分も考えていた。


 古雅を新年度で切れば、次は高橋を再来年度の人事で地方へと飛ばす。
 

 今井商事は伝統のある、香原財閥や大磯グループに引けを取らない会社なのだ。
 

 その社の中枢部に余計な人間たちを置いていては、社の沽券(こけん)に関わってくる。


 俺は先代の信太郎がやってきた事業を少し縮小しようと思っていた。


 要らない部署を廃止するか、統廃合して綺麗に整理してしまうか。


 そういったことを考えていた。


 そこで昔の同族会社のように、義理や人情などを露骨に出していては社が傾いてしまう。


 それだけは何としてでも避けたかった。

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