美女の危険な香り
 目を通して、立てた企画自体がダメだと思えば、遠慮なしに突っ返していた。
 

 俺は決して仕事には甘くない。


 都内にある一流半ぐらいの有名私立大学を出て、先代社長であるオヤジから会社を引き継ぎ、あらゆる物事を考えるにしても独自の視点で行っていた。


 そういった俺のやり方に対し、反発を覚えていた人間たちもいるにはいたのだが、全部辞めていった。


 俺は大抵社員の首を切るときはタイミングを見計らってやっている。


 この人間をこれ以上このポストに置いておくとまずい――、そう思ったら上手く取り繕って切っていた。


 実は来年度の人事で俺は古雅の首を切ろうと思っていたのだ。


 理由は簡単である。


 ポストに見合った仕事をしてないからだ。


 そういった人間たちには社を去ってもらうしかない。


 どうせ古雅のあの頭と体力じゃ、どんな会社に就職してもろくに務まらないだろうなと思いながらも……。
< 4 / 192 >

この作品をシェア

pagetop