美女の危険な香り
 無事入社してから、俺は日々勉強と思い、経営学の本を読んだり、信太郎からその手の話を聞いたりしていた。


 優紀子と結婚したのは大学を卒業してから、ちょうど十年後の三十二歳のときだ。


 披露宴には多数の人が集まった。


 いろんな意味での金も相当動いたと思われる。


 何せ優紀子は香原財閥の一人娘で、お嬢様育ちなのだし、俺も今井商事の御曹司だからだ。


 俺たちの結婚生活は最初から上手くいかなかった。


 新婚旅行では南の島に行き、その後、記念旅行で沖縄に行って、蒸すように暑い那覇の観光ホテルの一室で絡んだのが、今思い出せる限りでの俺たちの交わした性交だ。


 あの夜のことは未だに鮮明に覚えている。


 優紀子もさすがにセックスに慣れていなくて、あまり体験そのものがないからか、頻りに痛がっていた。


 だが、もうあの夜のようなことはない。

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