美女の危険な香り
 食事時にはちょうどいい。


 俺は古雅や高橋を誘うことなく、ステーキハウスに入っていった。


 店長が、


「いらっしゃい、今井さん」


 と言ってきたので、俺が、


「ああ、マスター。いつものセットもの頼むよ」


 と返し、カウンター席に座ってネクタイを緩め、寛ぎ始めた。


 さすがに昼飯を食うときぐらいは一人でゆっくりしたい。


 俺は普段から社長室にいるのだが、案外たくさんの人間たちに囲まれていて、正直窮屈さを覚えていた。


「今井さん」


「何?」


「ウエルダンがいいかい?それともレアにする?」

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