美女の危険な香り
“古雅も高橋もどうせ間抜けだから、ろくな発言しないよな”


 と思っている。


 会議自体、若い社員に丸投げしているのが現状だった。


 第一、古雅や高橋は常務や専務などの役職にあっても、パソコン一つ使えない。


 部下が作ってくる資料を元手に、会議を進めるつもりでいるのだ。


 今日の議題は、今後の商品流通のアジア方面への新たな展開と、若手が作った新しい企画がメインで進行する。


 俺は会議場で報告を聞きながら、一応今井商事を取り仕切る社長の身なので、意見を言うつもりでいた。


 考えてみれば、俺は今現在、今井商事にいるヒラの社員たちを知らない。


 元々ある程度の学歴はあって、たまたま入社式のときに顔を合わせるぐらいはするのだが、基本的に面識は皆無に等しかった。


 俺はそいつらがどんなことを仕掛けてくるのか楽しみにしながら、会議場へと向かう。


 社長室がある十五階から俺は会議室のある七階へと行くため、エレベーターを使う。

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