美女の危険な香り
 苺のショートケーキだった。


 この季節にしては珍しいぐらい、苺に赤みがある。


 多分地方の農家がハウス栽培でもしたんだろうなと思いながら……。


 俺が近くにいたウエイトレスを呼び、コーヒーを頼んだ。


 注文して数分後に持ってこられたコーヒーは一際苦い。


 だが、俺自身これぐらいがちょうどいいのだ。


 苦味が差すぐらいの……。


 そして一日の疲れが癒えるのを感じながら……。


 俺はネクタイを緩めた。


 千奈美が、


「浩介さん、オジサンっぽい」


 と言って笑うと、俺が、


「君だって、女盛り過ぎてるだろ?オバサンじゃん」
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