美女の危険な香り
 人間は案外美しいものを見たがるのだ。


 それは感情が備わった動物ならどんな生き物でもそうだし、実際俺たちは今年のクリスマスは一緒に過ごす気でいた。


 俺自身、先頭に立って会社を動かしているが、普段の仕事に幾分疲れを覚えている。


 誰でもそうなのだ。


 特に俺ぐらいの年の男になれば働き盛りなのだが、疲れは感じていて、それを癒すのにどうしても時間が掛かってしまう。


 それに千奈美も同じようだった。


 仕事で平日はクタクタになっているらしい。


 いくら出会い系サイトで知り合った仲とは言っても、俺たちは相思相愛になれていたし、想うからこそ抱く手が強くなる。


 考えてみれば、優紀子も出会い系サイトで知り合った誠と寝ているのだから、双方で不倫していることになるし、実際いずれは離婚調停、慰謝料の支払いなどをしなければならないのだ。


 それは家裁を通じてすることだった。
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