美女の危険な香り
 俺も常識的にそういった手続きに弁護士が必要なのは分かっている。


 一口に離婚と言うが、円満に別れるには、かなり煩雑(はんざつ)な手続きが必要なのだった。


 俺は自分で言うのもなんだが、快楽主義者だ。


 楽しければそれでいいのである。


 だから魅力を感じ取れない優紀子と一緒にいるよりも、一回り以上若い千奈美の方がいいのだった。


 彼女の付ける香水は俺を虜(とりこ)にする。


 少しきついぐらいがちょうどいい。


 最悪、いくら夫婦で互いに憎み合っていても、殺人などまではいかないので、そこのところは大丈夫だった。


 要は俺と優紀子が手続きを経て、別れられれば済む話だし。


 今頃、優紀子は自宅に誠を招待しているだろう。


 確かに苦々しい。


 俺の稼いだ金で買ったマンションを自分よりも若い男性に乗っ取られているのだから…
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