美女の危険な香り

…。


　ただし、これはどうしようもないのだ。


　俺は優紀子が週末になると、とても生き生きしているのを苦く思いながら、耐えて自宅に帰ることがある。


　香原財閥も一人娘の優紀子が好き勝手に暴走している今の状況じゃ、ダメージが大きいだろう。


　義理の父、洋平は自分の跡継ぎに、大磯グループから三男の健介を養子として迎えるつもりでいたし、健介の父親の大磯グループ会長職の龍造はどうやらそれを了承したと聞いている。


　俺は香原財閥が出来のいい健介によって動かされるといいと思っていたのだし、何より彼が養子として入れば、今井商事とのパイプもしっかりしてくるのだ。


　信太郎はもういない。


　俺が自力で会社を動かさないといけないので、大変だった。


　だが、香原財閥も洋平の代がもうすぐ終わる。


　洋平は今、信濃町にある私立大学の付属病院に検査入院しているようだった。