美女の危険な香り
 俺はそれを知っていた。


 今夜食事が終わってから、千奈美と熱く交わることを……。


 幸い六本木の街は遊びに不自由しない。


 金さえ出せば、泊まることの出来るホテルはいくらでもあるのだし、俺自身、そういったことに金を惜しまない主義だった。


 優紀子も今頃、誠の両腕に抱かれているだろうなと思いながら……。


 確かに面白くないと言えばそれまでなのだが、現実はそういったものなのだ。


 思うようにいかないのが人生だと言えば、それまでなのだから……。


 俺は昼間の疲れは、夜、千奈美を抱くことで、解消できると思っている。
 

 人生に乗り越えられないハードルなどない。


 要はその人間の考え方次第なのだった。


 見方を変えれば何もかもが変わる。


 俺は自分に課されたハードルを乗り越えるだけの力があると信じていたのだし、実際そうなのだ。
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