美女の危険な香り
 俺が端的に頷き返す。


 本心を言い当てられて、少したじろいでいたのだが……。


 そして俺は千奈美を抱きしめる。


 これが最高のときだと思っていて。


 彼女が振っている香水はいつもの通り、石鹸のそれで、俺の振っている制汗剤と交じり合う。


 部屋中に互いの熱と匂いが漂う中、俺たちは存分に抱き合った。


 ゆっくりとした時間が流れていく。


 ここが大都会東京であることを忘れられるぐらい……。


 六本木の街は活気付いていた。


 クリスマスが近いからだろう、恋人たちの夜は熱い。


 俺たち二人も例外じゃなかった。


 一対の大人のカップルとして。

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