恋人[短編]
席に戻る宮嶋を見送る。
私の至福の時間が終わる。
戻ってしまった、あの席に。絵美の、隣に。
「あー、宮嶋君っ! あのねー、今ぁ、友達と話してたんだけどねぇ、彼女と初デートって……」
会話が続いていく。
イライラ。
イライライライラ。
私のイライラメーターが急上昇している。
喋らないでよっ!
宮嶋と喋っていいのは私だけ。
宮嶋に笑いかけてもらうのも、私だけ!!
───なーんてね。
彼女じゃないんだから。
彼女だったとしても行き過ぎている気がする。
嫉妬心強すぎて、宮嶋に嫌われたら元も子もない。