月と薬指
壱 ~現在~
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外を吹く風は落ち葉を舞い上げて、
冬の寒空に消えていく。
窓ガラスを通る暖かな日差しは、
そんな寒さなど感じさせない。
部屋の中ではストーブが、
ゆっくりと燃えている。
熱気は静かに上昇し、
事務所の中を循環する。
昼過ぎの、なだらかなひと時。
午後の日差しは柔らかく、
冬月さんは、
今日も可愛い。
そう、きちんと座って黙っていれば・・・
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