月と薬指
あの一瞬から、
僕の目は彼女を追うようになってしまった。
日を追うごとに、
僕の中の彼女が膨らんで、
気づいた時には好きになってしまっていたんだ。
あの一瞬、
彼女は、何を思ったんだろう?
彼女は、どうしてこんな田舎町にいるんだろう?
彼女は、何を拒んでいるんだろう?
風呂場の湿度は飽和状態だ。
これ以上は、もう考えられない。
時刻は午前1時。
本日の睡眠時間も少ない。
5時間後には出勤準備だ。
・・・のんびり風呂なんかに浸かっている場合じゃ
ないぞっ!!
大丈夫かっ!!
オレッ!!
死ぬなぁぁぁぁぁーっ!!