月と薬指
4
「おい、秋山。全部、出たか?」
「・・・ヴ・・・はい・・・。」
背中に置かれた冬月さんの手の感触が心地良い。
体の中が、
全部、
酒で出来てるみたいなのに、
喉の奥は、妙に水っぽい。
冬の夜気に抱きすくめられたオレの体。
大きな身震い、ひとつ。
「・・・ほ、、ん、と、、、すミません、、、」
結局、
というか、予想通り。
新人のオレは、
冬月さんと話す間もなく上司のテーブルに呼ばれ、
洗礼の酒をグラスに重ねていき、
結果、
酔い潰されてしまった。