月と薬指

中空に、輝く、更待月。


静かに体を起こし、

月を見上げたままの彼女の青白いうなじにふれる。


薬指に伝わる、

温かな脈拍。

確かな命の流れ。


退屈な毎日なんて無かったんだ。

変わらない日常なんて無かったんだ。

それは、

いつも、

すぐそばにあったんだ。


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