月と薬指

自分で遠ざけていただけだった。


変化を拒んだのは、

変わってしまうことが怖かったのは、


小さすぎるオレだった。


侵入者を拒み、

自分だけの小さな世界を必死で守って。


ただ、

それだけで満足していたんだ。


まるで臆病な子供だった。

守られることばかり考えていた。


オレが守ってきたのは、

小さなオレと、

ちっぽけな自分だけの世界だった。



抱きしめた冬月さんの背中は、

ひどく小さかった。


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