月と薬指


憶えているのは、

それだけだった。


あの日の翌日、

強烈な頭痛と、

カーテンから射し込む光に意識が戻った。


見慣れたはずの自分の部屋の天井すら歪んで見えた。


全身が泥のように重く、

体を動かすことが、

ひどく面倒に思えた。


それでも出勤すると、

何人かは同じような状態で。


何も変わることはないと思っていた日常。


でも、

違う。


変わらないことなんて無い。

オレは、冬月さんを探した。






彼女は、

出勤していなかった。


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