月と薬指
古いノートは、
角が擦り切れていた。
ページを捲る。
*月*日
あなたが死んで、
時間が経って、
私は、
もう少しだけ生きてみようと思った。
彼方の居ない右側が、まだ少し寂しいけど。
あれから、たくさん泣いたんだよ。
あれから、たくさん考えたんだよ。
あれから、たくさん彼方を思い出したんだよ。
これから、たくさん泣くかもしれない。
これから、たくさん迷うかもしれない。
これから、誰かを愛するかもしれない。
日記・・・・冬月さんの?・・・
震える指で、手紙の封を切る。
冬月さんの文字が並んでいた。
見慣れた、
几帳面な文字。
涙が、
止まらなかった。