月と薬指
そんな僕の憂いを余所に、
彼女は話しかけてきた。
「おう?おめぇも休憩か?」
休憩と仕事の区別をキッチリつける彼女は、
以外にも気さくに僕に話しかけてくれたんだ。
どうして、そんな話になったのかは憶えていないけれど、
僕は、
いつでも手を抜かない、一所懸命な彼女に聞いてみた。
何故、
そんなにも仕事に一所懸命なのか?
必死なのか?
「おめぇ、そんなもん簡単よ。
やりたい事をする。やりたくない事はしない。
それだけの事よ」
「でも、修正改善報告書とかって面倒くさくないですかぁ?
できれば、やりたくないんですよねぇ~」
「確かに、面倒くせぇよなぁ~、あれ。
でもな、そこだけ見れば、面倒くせぇ事かもしれねぇけどな・・・」
彼女は、ニヤリと笑って僕を見た。