モドリミチ
ベランダの無い家だったから




すずめの音で 目が覚めて


秋虫の音で 眠った




あなたの扇ぐ うちわ風で


わたしたちは 守られていた




焼けた道を歩いた


小麦の畑が歪んだ


金色の空 落ちてきたから


わたしたちは バラバラ




西空が 青くなった


それ以外 黒く染まった




「もう 目が見えないよ」




月に のぼった あなたが言った




横たわる主 置き去りにした あなたが言った




ベランダが欲しかった


ベランダが欲しかった




窓からのばす手じゃ


月まで とどかないから




あと少しの 足場が ほしかった








窓枠 ふみはづし


利き腕は とどかないまま








わからないのは




アナタ ハ ドウヤッテ 月ヘ イッタ?







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