彼氏キケン地帯
見上げた建物に書かれたものは“呪いの病院”というお化け屋敷。
はじめて目にした、本格的お化け屋敷に腰を抜かしそうになる。
「立花サン、本気っすか?」
「そーですけど、相川サン。」
入る前からすでに逃げ腰で、嫌な汗が額に浮き出る。
なんでもっと可愛らしいものが作れなかったのだろうか。
オバケの○太郎みたいな可愛いのだったらよかったのに。
目の前には、リアルに不気味な古い病院。
暗いところに、非常口の緑のランプが奇妙な雰囲気をつくる。
「ムムム無理ーッ!!!」
尚に腕を引かれて、嫌々中に入ることになってしまった今、あたしには尚しかいない。
尚の腕をぎゅっと掴み、同時に瞼も閉じた。
「えっ。」
すると、チュッと柔らかな感触が唇に。
「怖くない魔法。」
そう言って、唇に尚の人差し指が軽く触れた。
薄暗い中、怖かったけど、尚がいることで安心感があった。
外に出てから、
「尚となら、お化け屋敷も悪くないね。」
なんて言ってみたら
「恋愛アマチュア。」
って、馬鹿にされた。
だけど、その時ほんのり尚の頬が赤く染まっていたことにあたしは気づかなかった。
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