彼氏キケン地帯



たくさんのアトラクションをのり尽くした後、一番楽しみにしていた観覧車に乗ってからテーマパークを出た。



「腹、減ってね?何か食いたい?」


「あー…お腹空いたかも。なんでもいいよ。」



あたしがそう言うと、尚は嬉しそうに笑って「行き着けのとこあっから、行こ。」と言った。



嗚呼、あたし尚のこの表情(かお)好きかも。



尚に心を奪われた、向日葵のようなキラキラした笑顔も好きだけど、はにかんだようなこの笑顔はもっと好き。



尚の素顔が見れた気がするから。


尚の気持ちがそのまま出たような、この笑顔が好き。



尚が尚でよかった。


尚のこと、ちゃんと知ることができてよかった。


そう思えるんだ。



「けっこう地元の方なんだけど…知ってっかな?」



尚が連れて行ってくれたのは、“moon & star”という喫茶店ぐらいの小さなお店。


シックな感じで、夜だからかすこし大人っぽい雰囲気を感じる。


クリスマスソングがジャズ系にアレンジされた曲が店内に流れる。



「素敵だね。」


そういうと、尚はまた、はにかんだように嬉しそうに笑ってくれた。

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