彼氏キケン地帯
「ここ、けっこういろいろあるからさ。何食いたい?」
「んと…なにがあるの?」
にこにこと話す尚の姿は、なんだか少し幼い印象を与える。
童顔のあたしが言うのもなんだけど、尚の顔は実年齢より一つほど下に見えるというのもあるけど。
なんて見つめてると、尚はカウンターの方へ声をかけていた。
「キヨシさーん!メニューちょーだい!」
「はいよー。」
そう言って、カウンターからこちらに来たのはダンディー風の男の人。
オシャレでイケてる容姿に、ダンディーな雰囲気があるけれど、瞳はつぶらで優しげ。
今人気のアーティストのダンサーの一人に似てるかも。
このお店の雰囲気とマッチしている。
「お。ここ来るの初めてだよね?まさか尚の彼女チャン?」
「あ、はい!はじめまして。」
ニコッと笑うキヨシさん。
柔らかな口調で、ついつられて笑顔になってしまう。
尚と似た雰囲気の笑顔。
無邪気な感じで、親近感が湧く。
「えっと、店長さんですか?」
「そでーす!尚とは長い付き合いしてます!」
「ぶっちゃけ、キヨシさんって俺の父親代わりみたいな存在なんだよ。」
尚が少し口をとがらせ、照れた様子で話す。
「おい、おい。そこは、お兄さん的存在にしとけよな。」
「ちょっとキツいかな。」
「なにー?」
仲よさげなふたり。
また尚の素顔がみれた。
尚を知ることができた。
それだけで、すごく嬉しい。
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