彼氏キケン地帯


そう思うと、自然と頬の力が緩む。


「…なに笑ってんだよ。」

「え?笑ってないって。」


あたしにだけ見せてくれる、いろんな表情(かお)。


今までは、みんなにニコニコしていて愛想がよくて、どちらかというとみんなのアイドルって感じ。


でも、今はあたしだけ。

尚の特別になれた気がして嬉しい気持ちが溢れ出てしまいそうだ。



「じゃあ、あたしきのこスパゲティで。」


「俺、いつもの!飲みもんも好きなの頼めよ。」

「えと…グレープフルーツジュースで。」


「ハイ。かしこまりました。」



頼んだ飲み物は、それぞれすぐに届いた。


あたしは、スマートなワイングラスに注がれたグレープフルーツジュースを。


尚は、普通のグラスに注がれたウーロン茶を飲んでいた。



グラスに唇をつけながら、上目づかいの尚と目が合う。



(な、なんかセクシー!!)


「たっく、お前ほどウーロン茶似合わない奴いねーよ!」


ガハハ!と豪快に笑うキヨシさん。


それを見るあたしは、そうでもないと思っているけど。



「つーか知ってる?こいつ酒飲んだことないんだぜ!キャラ的に見えねーよなぁ?」



豪快な笑いのままのノリであたしに話を振ってくる。


しかも、サラリとびっくり話。



「え!?嘘!!」


「でも、こいつはつい最近まで気づいてなかったわけ。」


なにそれ。

意味が分からないのですが、とキヨシさんを見る。


「え?どういう…?」



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