彼氏キケン地帯
「あ。はじめまして。尚の彼女チャン?」
「えと、はい。」
薄めのギャルメイクに、クリーム色のショートボブ。
耳元で光るのは、どこかで見たことのある黒のピアス。
雰囲気からして、なんだか美人さん!
見た感じ、年上…だと思われる。
「尚ってば、ほんっところころ変わるよねー!」
「ちょ…おい!?」
「一体何人目よ、この色男っ!」
「え…」
わかってる。
尚から直接聞いてたことじゃないか。
彼女の言葉に、さっきまで楽しかった気持ちが急に大人しくなった。
「蜜希のいる前で、やめろっつの。」
「あれ?!今日はしてくれてなーい!」
「ん?は?」
「美沙があげたピアス!おそろなのに!」
「あー…気分的に今日はこれ。」
「もー!高校に入ってからつけなくなったけど、最近またつけてくれてるから嬉しい!」
「わりわり。あれ、気に入ってっかん。」
「うわ!その言葉聞きたかったー!お揃いなんだかんね!」
「ハハ。そこに意味はねーじゃん。」
「絆じゃんよー!」
ふたりで盛り上がってる様子。
なんだか、あたしがいるのかいないのかわかんない感じ。
すごく仲の良さげなふたりの間なは、あたしが入る隙なんてないくらい。
なんだろう…。
胸がモヤモヤする…。
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