彼氏キケン地帯
美沙さんとのプチハプニングのせいで、夕ご飯を食べ損ねたあたしたち。
強力なマイマザーのオバタリアンパワーで、尚と一緒に家でご飯を食べることになってしまった。
「やるじゃない蜜希ー。イケメンゲットとは、さすがあたしの娘!」
なんて小声で言ってるつもりのオバタリアン。
尚が困ったように眉をひそめているのを見たあたしは、聞こえてしまっていることに気づき恥ずかしかった。
「母さん、月日はどうしてこんなに早く過ぎ去るのだろうか。」
なぜか無駄にティッシュを使う、ウザったいオジサン。
こんなことで泣かないでよ!と言いたい気持ちをこらえた。
「髪キレー!ていうかすべて素敵っ。惚れてもいいですかぁ?」
「ダメに決まってんでしょーが!!」
おしゃれメガネをした一つ下の妹。
ぶりっこしてんな!と言いたいところを、なんとか抑えている。
「それ、だてメガネ?」
「そぉでーっす。外すとこんな感じー。」
かちゃっと可愛らしくメガネをズラす。
(上目遣いしてんなぁ! )
クリスマスに家族団らん。
これはうちの決まり。
そこに大好きな彼氏。
なんだか尚と家族になったみたい。
家族の愛情を知らない尚に、少しでも知ってもらいたい。
ガヤガヤと騒がしいうちの家族を、少しはにかんだように、でもすごく嬉しそうに笑う尚を見て思った。
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