彼氏キケン地帯
こないだと一変した態度に、あたしは素直に笑顔を向けた。
「あたしこそ、叩いちゃってごめんなさい。頬、大丈夫ですか?」
「あはは、大丈夫だよ。」
美沙さんは思っていたよりいい人で、あたしたちは仲良くなることができた…
わけではなかった。
仲直りの握手を求めたとき、あっさりスルーされ尚にやたら絡む彼女。
尚の腕に自分の腕を絡ませ、ご自慢の胸を強調させている。
(こ、この女…っ!!)
怒りのバロメーターが上がり、マックスに突入しそうになる。
嗚呼、きっと尚だってこの攻撃には弱い。
だってオトコノコだもん。
色気ムンムンの年上じゃ、さすがにデレデレしちゃうよなぁ。
半分涙目で尚の顔を見れば、笑っている。
にやけた顔じゃなく、普通に。
しかも、彼女を気にせず、視線はあたしに向けられている。
そして、自然とその腕を離し、あたしのもとに来てくれる。
「ご飯、食お。」
「うん!」
幸せの一時、邪魔されないはずがなかった。
「あたしも一緒、いい?」
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