彼氏キケン地帯


「寒いねぇ…尚。」



寒い空の下、尚を挟むように右にあたし、左に美沙さんが座った。


寒いのはみんな同じなのに、美沙さんはやたら尚にベタベタする。


むかむかを抑えたいあたしは、黙々とお弁当を食べていた。



「美沙、邪魔。俺、食えねーじゃん。」


付き合い始めた頃から、尚のお弁当は大きく、男らしいガツガツとした食べ方をしていた。


肘を横に出し、バクバクと食べるタイプの尚だから、腕を絡ませられると食べづらいのだろう。


尚の声を聞いて、自然と口元を上げるあたし。



ケケケ。
ざまーみろ。イエイ!


というのが本心だ。



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