彼氏キケン地帯
尚の「超うめぇ。」発言に一気にあたしの心拍数は上がる。
そんなあたしに、尚は小さく驚いたような顔をするから「そのエビフライ、作ったのあたし…」と付け足した。
ちらりと尚の顔をもう一度見ると、嬉しそうな顔をしてこう言う。
「また作れよ。俺のためにさ。」
そんな尚のセリフにくらりときいていたとき、尚の隣にいた膨れっ面の美沙さんが反撃に出た。
「あたしのが上手に作れるよ。」
ニコッと尚に笑いかけ、あたしにキツい視線を送る。
どこまでも嫌な女だな。
ぶりっこってよ、もはや二重人格だっての。
「明日、あたしがエビフライ作ってきてあげるからさ!」
「明日ってお前。今日だけっつったろ。」
彼女のおでこにコツンとする。
それを嬉しそうな目で、「いたーい」と言う彼女は、まさかのMなのだろうか。
「いいじゃん。ね?ミツキちゃん。」
なぜか親しげな呼び方をする彼女。
彼女の変わりように、あたしはため息が出た。
_