彼氏キケン地帯
耳元で低い声が囁くように聞こえる。
尚とのハスキーな声とは違って、とても低い。
本当は内心混乱していたけど、冷静さを装っていた。
「いぃ、い、意味わかんないんだけど?」
だけど、噛みまくったあげく見事に声が裏がえった。
そんなあたしをバカにしたように笑う目の前の男は余裕。
悔しさに、自然と頬が膨らむ。
「まぁ、いいじゃん。」
そう言って、ふぅーっとあたしの耳に息を吹きかけた。
「ヒッ!!!」
それに反応して、耳に手をあてたときだった。
ガン!!!
いきなり後ろの窓が勢いよく開き、ハスキーな怒鳴り声が響いた。
「てめー!!ふざっけんな!!!」
びっくりして後ろを向くと、ラフな格好をした尚。
いつもなら、いますぐにでも駆け寄って行くとこだけど、今の尚はキレていて目が怖い。
はっきり言って、近寄りたくない…
「てんめぇ、蜜希になにしてんだよ…」
窓から部屋に入り、男の胸ぐらを掴む尚。
荒々しい態度の尚に、男はなぜか余裕しゃくしゃくといった具合。
「…なにへらへらしてんだよ。」
いつもと違う尚の低く地の底から這い上がってきたような声に、あたしは内心心配でしかたない。
だけど、男はそれを感じていないのか、またまたあの言葉を口にした。
「苺パンツ」
ニコッと笑ってそう言った。
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