彼氏キケン地帯


「な…尚?」


「あいつには、気をつけろ。」


「え…あ、うん…」



前を向いたまま、こちらを見ようとしない。


尚の表情が見れないからか、何を思っているか感情が伝わらない。



「はぁ…ちゃんと迎えに行けばよかった。」


「ご、ごめ…」



せっかくのお家デート。
楽しみにしてたのに…


そう思うと鼻の奥がツンとして、視界がぼやけてきた。



「なお…」


ちょうど尚の家に入ったときだった。



「エ。」



玄関にブラジャーが落ちていた。


予想外のことに、つい声が出てしまったけど、尚を見ると困惑気味。



尚の家族のもの…?


そうだとしたら、これは気づかないフリか、またはあまり気にしない方がいいのかも。



そう思ったのも束の間で、「尚まだぁ?」なんて声が階段の方から聞こえた。



その声は、甘ったるい猫なで声。



それを聞くのは初めてではない。



「尚!はーやく!」


なぜか、体を覆っているものがバスタオルのみ、という姿の美沙さんがいた。



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