彼氏キケン地帯
「…蜜希?」
「え、あっ」
「そんなとこで突っ立てないで入れよ。美沙には帰ってもらうからよ。」
あたしの不安と不満を知ってか、尚はそう言った。
まるで、あたしを安心させるかのように。
「え?なんでー?!三人で仲良くしようよぉ!」
美沙さんが一瞬あたしを睨んだのがわかったけれど、尚の優しさに頬がゆるむ。
彼女という優越感があった。
このときまで、あたしは尚の一番だって信じてたから。
先に尚の部屋に上がると、そこは以前と変わらず少しちらかっていた。
チラッとベッドの下を覗けば、エッチな雑誌が一、二、三…四冊。
これを見れば、たしかに美沙さんが言うことも納得がいった。
自然と苦笑いが浮かぶと、ふと机の上に置いてある写真に目がいった。
普段なら気にしないのに、その写真にぐしゃぐしゃに丸めた後があったからだ。
勝手に見ちゃいけない。
そう思いながらも、すごく気になった。
いくら彼女だからって、干渉しちゃいけないことだってある。
そうわかっていたのに、気づけば手のひらに写真があって…
それを見た瞬間、心が凍りついた感じがした。
「蜜希…」
そこにちょうど尚が帰ってきて、写真を手にするあたしを見て急に険しい顔になった。
「さわんな!」
ちらりと一瞬しか見れなかったけど、尚と尚に腕を絡ませている女の子のツーショットだった。
顔は見れなかったけど、親しそうだった。
だって、写真の中の尚はすごく嬉しそうに笑ってたから。
「…勝手に見るなんてさ…最悪だろ。」
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