彼氏キケン地帯
身の危険を感じて身をよじってみると、急に斉藤の腕の力が緩んだ。
その隙をみて、あたしはその腕から逃げる。
斉藤を見ると、奴はあたしを解放したかわりに肩を揺らしている。
「は…?」
顔を上げた斉藤は、声を出さずに笑っている。
こらえるのが相当つらいのか、奴は涙目。
お腹を抱えて、必死に声を押し殺している。
普通に声を出して笑われるよりムカつくのはなんでだろうか。
「ちょっと!なにが可笑しいのよ!!」
「っく…だって、蜜チャンてからかいがいがあるから…っ!っっー!」
「ウッザ!!笑うなら声出しなさいよ!!むっかつくなぁ!!」
顔を真っ赤にして羞恥にたえていると、笑っていた斉藤が急に真顔になった。
「でもさ、蜜チャン元気になったみたいで、よかったよかったよ。」
「は…」
いつものちゃらけた斉藤が、なんだか違って見えた。
なんだ、こんな話し方もちゃんとできんじゃん。
「ん?なにそれ?」
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