彼氏キケン地帯
「っ…」
上手く息ができない苦しさにギュッと目を瞑っていると、急にカシャっという音がした。
驚いて目を開けてみると、斉藤はあたしにキスをしながら伏せ目がちにうっすらと目を開けていて、左手には携帯。
「ンー!!」
写真を撮られていることに気がつき、慌てて抵抗すると、頭をぐっと引き寄せられ、押さえつけられるようにキスをされる。
激しくなるそれに、抵抗する力が弱くなる。
尚にもされたことのないようなキス。
それを何度か撮られて、斉藤も気が済んだのか、唇がゆっくりと解放された。
「っ…ふ」
へなっと床に手をつき、乱れた息を整える。
手の甲で、乱暴に唇を何度も擦るけど、斉藤の感触は消えない。
擦るたびに、尚の笑顔が離れなくて涙が出てくる。
鼻をすするあたしに、斉藤は近寄りニコッと笑って携帯の画面をこちらに向けた。
「ねー見てこれ。上手く撮れたっしょ?」
「…!!!」
斉藤とあたしが深い口づけをしているところが画面に写し出され、あたしは頬が高潮し目をそらす。
そんなあたしが気に入らなかったのか、斉藤はあたしの顎をクイッと上げるとせせら笑うようにこう言った。
「これって…浮気だよね?」
「…は」
「これ、尚に見られたら……どうする?」
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