彼氏キケン地帯
斉藤はそう言うと、あたしの肩を抱いてニコッと笑う。
不真面目でチャラチャラしてるこの男。
軽そうで単純に見えて、一見話しやすい。
でも、その中に何を秘めているかわからなくて、本当はきっともっと冷静でどこか冷たい。
へらへらしているようで、その瞳は輝きを帯びてはいない。
どこか暗いなにかを、抱えている。
作り笑いの多いこの男は、あたしたちとはどこか違うところを見ているよう。
「固まっちゃって。カーワイイ。」
ねっとりとした口調。
耳元で、息をかけるように話す。
「や…やめてよ。」
身をよじると、急に屋上のフェンスに体をおさえつけられた。
一瞬怯んだ後、斉藤の顔を見ると、酷く冷え切った瞳を見せた。
やっぱり、どこか違う。
この男は、これが本当の顔なんだと今確信した。
「俺の言いたいこと…わかるよな?」
「っ…」
「この写真…尚に見られたくなかったら、俺のいうこと大人しく聞きな。」
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