彼氏キケン地帯
目の前が真っ暗になった。
「…は」
悪くびれもなく、尚は笑う。
顔は尚。
声だって尚。
あたしの知ってる大好きな彼氏。
現在お付き合い歴ちょうど3ヶ月。
つい最近、やっと手を繋ぐことができて、やっと呼び捨てで呼び合える仲になった。
なのに…
階段落下事故から、なぜか尚がおかしくなっちゃって、今まで硬派だった尚からあっさりキスされちゃって…。
遅刻はするは、耳にピアス開けるは。
今までの優しくて、ふわふわとおっとりしてた尚が、今目の前で笑ってる。
以前に比べて、なんか馬鹿っぽい。
「っっ!尚…やっぱり、あたしのせいで…っ」
そう思うと泣きたくなる。
尚があたしのせいで馬鹿みたいになっちゃった。
すごいアホ面だ。
なんか、頭ん中空っぽそう。
「尚、ごめんねぇッ!」
「はぁ?何言ってんの?」
「あたしのせいで、こんな馬鹿になっちゃったぁ…!」
「…うるせぇ。」
「ごめん…ごめん!」
「うるっせぇ!!犯すぞっ」
「えッ!?」
ガシャンっと、フェンスに拳を当て、威嚇する尚。
なんだか野性的になってしまっている。
今、尚の口から出たなんて思えないような、卑猥な言葉が聞こえた。
「尚…?なに?もう一回言って?」
「黙んねーと犯すぞ」
絶句。
これは気のせいだよね。
誰か、これは夢だと言って。
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