彼氏キケン地帯


視界が歪む。


「なに?泣いちゃう?」

「尚が尚じゃないって、どういうことさっ?!」


目の前の尚が、悪魔みたいに見える。


意地悪く笑ってる。



「蜜希じゃさ……」


顔が近づく。

こんなに至近距離で尚の瞳を見るのははじめて。

綺麗な顔が近くにあることに頬を染めるあたしに、尚はニコっと笑い、言葉を続けた。



「蜜希には、わかんないと思うけど」



意地悪そうに微笑む。



顔も。声も。瞳の色だって、尚のはずなのに。




全部全部、尚じゃない。


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