彼氏キケン地帯


「な…に…?」



綺麗なその顔を歪める。

あたしの反応が気に入らないらしい。


無言になり、そっぽを向く。


「お前なんか嫌いだ」


「…は?」


な、に?

この人は!


拗ねた子供のように、ぼそりと呟くように言う尚。


いじけてるのか!



「いきなり、なにさ」


「…べつに」



子供かよ!あんたは!


口はあんぐり。

やはり、あの日頭を打ってから尚はおかしいのだ。


「…」


「…」



沈黙が流れる。


つーんとした尚の態度に、小さな不安を覚える。

尚の口から『嫌い』なんて、初めて聞いた。



「なお…」


「…」


「…なお」



「…」



「本気じゃ…ないよね」


ちらりと横目で尚を見る。


尚は変わらずそっぽを向いていて顔が見れない。



「大嫌いって…」


「…」


「ほん、と…じゃないよね?」


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