彼氏キケン地帯
鼻歌交じりで、すでにメロンパンを加えている尚は、今から昼食というよりは今食べているという感じ。
なぜだかご機嫌の尚のあとを弁当を持って着いていく。
「ど、どこ行くの?」
「中庭とかいくね?」
笑顔の尚。
いや、以前までならそれが当たり前だったのだけれど、あの事故の日から今まで、こんな笑顔は初めてだ。
一体なんなんだ…ι
「な、中庭…寒くない?」
日は当たるけど、今は冬だ。
いくらなんでも気温はあまり変わらず、寒い。
室内の方が暖かいので、中庭にいるのはあたしと尚だけだ。
ベンチに座る尚を、手を擦り合わせながら白い息を吐いて見つめた。
尚は、早く座れよって感じの顔で、あたしが困って眉を垂らすと、今度はニコッと笑った。
「だからさ…」
「え…ちょ!?」
急に腕を引っ張られ、座ったまま後ろから尚に抱きしめられる。
尚の膝の上に乗っかっているから、背中にちょうど尚の顔が当たる。
「…あったかいっしょ?」
「ちょ、ちょ、ちょっ」
ギューッと抱きしめられて、一気に体温が上がる。
頬がカァッと赤く染まり、どこを見たらいいかわからなくなる。
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