彼氏キケン地帯
尚が…話しかけてくれた。
あたしのために、怒ってくれた。
昨日あんなこと言ってしまったのに…
それなのに、あたしを庇ってくれてる。
「…っ!!」
「なっ!!?」
そう思ったら、よけい涙が溢れ出てきた。
そんなあたしを見て、尚はギョッとし、また焦り出した。
そして、立ち上がると、また女の子たちへ視線を向け、低く鋭い声を言い放った。
「てめーら、マジなにしたんだよ!内容によっちゃ、女でも容赦してねえぞ」
本当なら、今までに聞いたこともないくらいの冷たい声に、怖いと思うところだけど、感動でいっぱいのあたしには恐怖は感じなかった。
それに、涙でぼやけてなにも見えないけれど、すごく心強かった。
「っ!だって、こんな子よりもあたしたちの方が…!」
「なに?お前ら、蜜希のどこを勝ってるって?」
「っ…だからっ」
「だから?」
余裕のない彼女たちの声にくらべ、尚は低く冷たい冷静な声だ。
「だから!あたしたちの方が尚に尽くせるのよ!マフラーだって編むし、毎日お弁当だって…クッキーだって作ってっ」
「奈保、泣かないで」
「そうよ!その子より尚を幸せにできるし、奈保のが可愛いじゃない!」
四人の中で一番平手打ちが痛くて、一番派手な格好をしていた子が泣き出してしまった。
きっと、昨日クッキーを尚のカバンに入れてなりきりメールをしたのは、この子だ。
「たとえば、どのへんが?」
「え…」
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