彼氏キケン地帯



「…なんで、その子なの?」



大粒の涙が、彼女の大きな瞳から零れ落ちた。



痛々しかった。


本当に尚のことが好きなんだなぁって思った。


同情がほしくて泣いてるようには見えなくて、やっぱりどうしても尚に振り向いてほしくて。


彼女がしてることは、真っ向勝負なものじゃないけれど、尚を好きだという気持ちはあたしと同じなんだ。



だからかな…


彼女を見てると、すごく心が震える。




「尚!変わっちゃったじゃない!」


「あ?」



似たようなセリフ。

あたしも思ったし、尚を傷つけた。



だけど、この時あたしは間違っていた。


ううん、勘違いしてたんだ。


彼女が言っていたのは、つい最近の尚に対してだって。


不良もみたいな尚になっちゃったから、その子もイメチェンしたんだって。



_
< 69 / 191 >

この作品をシェア

pagetop