彼氏キケン地帯



「てめぇ…」



と思ったのはつかの間。

尚の機嫌は更に悪くなった。


眉間にシワがより、目つき鋭い。


よく見ると、拳を強く握りしめていた。



そういえば、初めてこの人に会ったとき、尚は無口で不機嫌気味だった。

尚は、斎藤裕史が苦手なのかなぁ…?




「噂の尚チャンじゃん。まーた修羅場?」


「あ?」


「でも、昔はもっとすごいのあったよね。ミツちゃん知ってるー?」


「ってめ!これ以上なに抜かして…っ」


「こいつ、中学ん時オンナ遊びがすーごかったんだよー?人のオンナにまで手ぇ出してさぁ。」



目だけ笑っていない斎藤の言葉に、あたしは固まった。



尚が


オンナ遊び……?




呆然と尚の方を見ると、顔を歪ませ目線を逸らされた。



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