彼氏キケン地帯



待て待て待て!


あたしは、こういうのは初心者なんですけど!


つーか、尚が初彼だから初めてはすべて尚なんだけど…


尚になら、いつかすべてを捧げる気でいるけど…


でも!

まだ早い!


あたしには、まだ早すぎるーッ!!



なんて思っているうちに、尚の手のひらは服の中に入りこみ、ゆっくりと北上している。



ノウ!ノウ!NO〜〜っ!



「まッ、待って、だーりん。わたしには、まだ早いと思うノ。」


「ダーリン?じゃあ、蜜希は俺のハニー?」


「う、うん。だから…」

「じゃあ、問題なくね?」


「うぁあ!?待って!あ、あたしこーゆーの初めてで、まだ早いというか…未知の世界だし…」


最後の方は、もう呟きみたいで尚の耳に聞こえたかはわからない。


だけど、本当にこういうことはまだ早い気がするんだもん。


だって、なんか…



「…わりぃ。怖い、よな。」


ゆっくりと体を起こし、あたしの頭を優しく撫でる尚に、あたしはコクンと頷く。


それを見てか、尚はベッドに座り直し、あたしは尚の背中しか見えない。

あたしも、体を起こし、尚の背中を見つめる。



「ずっと、手ぇ出さなかったんだ。我慢できる。」


「え?うん?」


「ずっと、大事にしなきゃって思ってたんだよ。今までみたく、適当なことはもうしないって。」

「うん…」


「焦った。わりぃ。絶対、大事にするから。お前がイイって言うまで待つから。」



くしゃあって前髪を掴んで、尚はうつむく。


どこか辛そうな背中。


「ありがとう…大好きだよ。」


後ろからぎゅっと、その背に抱きつくと、尚は困ったような顔をして振り返り苦笑い。



「こンの、アマチュア野郎。天然とか嫌いだぞ。」


「は…うん?」


「でも、蜜希だから許す。」


そう言って優しいキスをくれた。


愛が深まった感じ。


嗚呼、幸せ。


この腕の中で、あたしは素敵な女性になってくのかしら。


そう思うと、余計顔がにやけた。


_
< 94 / 191 >

この作品をシェア

pagetop