彼氏キケン地帯
待て待て待て!
あたしは、こういうのは初心者なんですけど!
つーか、尚が初彼だから初めてはすべて尚なんだけど…
尚になら、いつかすべてを捧げる気でいるけど…
でも!
まだ早い!
あたしには、まだ早すぎるーッ!!
なんて思っているうちに、尚の手のひらは服の中に入りこみ、ゆっくりと北上している。
ノウ!ノウ!NO〜〜っ!
「まッ、待って、だーりん。わたしには、まだ早いと思うノ。」
「ダーリン?じゃあ、蜜希は俺のハニー?」
「う、うん。だから…」
「じゃあ、問題なくね?」
「うぁあ!?待って!あ、あたしこーゆーの初めてで、まだ早いというか…未知の世界だし…」
最後の方は、もう呟きみたいで尚の耳に聞こえたかはわからない。
だけど、本当にこういうことはまだ早い気がするんだもん。
だって、なんか…
「…わりぃ。怖い、よな。」
ゆっくりと体を起こし、あたしの頭を優しく撫でる尚に、あたしはコクンと頷く。
それを見てか、尚はベッドに座り直し、あたしは尚の背中しか見えない。
あたしも、体を起こし、尚の背中を見つめる。
「ずっと、手ぇ出さなかったんだ。我慢できる。」
「え?うん?」
「ずっと、大事にしなきゃって思ってたんだよ。今までみたく、適当なことはもうしないって。」
「うん…」
「焦った。わりぃ。絶対、大事にするから。お前がイイって言うまで待つから。」
くしゃあって前髪を掴んで、尚はうつむく。
どこか辛そうな背中。
「ありがとう…大好きだよ。」
後ろからぎゅっと、その背に抱きつくと、尚は困ったような顔をして振り返り苦笑い。
「こンの、アマチュア野郎。天然とか嫌いだぞ。」
「は…うん?」
「でも、蜜希だから許す。」
そう言って優しいキスをくれた。
愛が深まった感じ。
嗚呼、幸せ。
この腕の中で、あたしは素敵な女性になってくのかしら。
そう思うと、余計顔がにやけた。
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